木漏れ日キラキラのオフロードから湖畔の快適ロードまで、自転車で探しに行く白馬のハイライト。

久々に戻ってきた長野県白馬村。前回CHARIP MAGAZINEは健脚揃いの富山チームとグラベルライドを楽しんだけれど、2回目となる白馬ライドは趣を変えてE-バイクで青木湖方面に足を延ばす。

ゲストに迎えたのは2025年春八方エリアにオープンしたばかりの「リズムMTB(マウンテンバイク)店」のスタッフの、モカさん&哲さんという二人組。岩岳のダウンヒルを楽しめるマウンテンバイク、街中をのんびり巡るためのクロスバイク&E-バイクまで、Specializedの最新モデルをレンタル&販売するほか、さまざまなバイクアクセサリーを取り揃える「リズムMTB店」は、白馬エリアの新たなバイク拠点として支持されつつある。

メルボルンでバリスタを務めていたモカさんは帰国後、「Rhythm Japan」にマーケティングスタッフとして参画。2週間前に白馬に移住してきたばかり。一方、バリバリのスノーボーダーの哲さんは子どものときにマウンテンバイクに乗っていたそうで、久々のダウンヒルを岩岳で満喫しているとか。

「リズムMTB店」では高いスキルをもつメカニックがばっちり調整してくれるから、はじめてのE-バイクも安心。

今回は「リズムMTB店」でクロスバイクタイプのE-バイクを レンタルして青木湖方面を周遊し、八方エリアに戻るという、およそ35kmの周遊ルート。途中、川遊びを楽しめる平川沿いのグラベルパートもあって、夏から秋にかけてぴったりの内容になっている。

スキージャンプ台と、その後方にそびえる白馬三山の共演が見ごと。

朝8時半、まだ涼しいうちに「Rhythm」を出発してジャンプ台方面へ。ジャンプ台前を通過してみそらのエリアの別荘地を横切り平川へ。別荘地を抜けるとゆるやかな上り坂になっている。E-バイクのライドははじめてというモカさんと哲さん、のぼりのときにしっかりとサポートしてくれるアシストシステムに無敵感を得られるようで、坂をぐんぐん登っていく。E-バイクは白馬をライドするビギナーやファミリー層にとってスマートな選択になっていきそうだ。

平川の川べりで小休憩。前日の雨のせいで濁っていたのが残念。

平川第一号床固工記念碑を目印に川沿いのオフロードに入る。このまま川を右手に見ながらオフロードを下るのだが、川の反対側に位置する「Hakuba47スポーツパーク」へ渡渉できる区間もある。水位はくるぶし〜すねあたりで雪解け水はびっくりするほど冷たく、暑い日の川遊びに最適。河原に自転車を置いてクールダウンしていこう。

一面に広がる緑の水田。

川で十分に涼んだら、川沿いのオフロードを白馬オリンピック大橋まで進む。橋の横を巻くようにオリンピック道路(県道33号)へあがる。オリンピック道路から西側の農道に入り、水田エリアを走ろう。春〜夏は緑の、秋は金色の稲穂が揺れる水田がどこまでも続くさまは日本の原風景ともいえるもので、のんびりとサイクリングを楽しめる。しばらく水田エリアを満喫したのち、国道148号を付かず離れずしながら白馬さのさかスキー場まで南下する。

趣ある塩の道を進む。

スキー場へのアプローチの坂を登りきり、千国街道こと塩の道の旧道に入る。その昔、日本海側と太平洋岸を結ぶ交易路として栄えた塩の道は、日本海側の北ルートと太平洋側の南ルートにわかられるが、白馬村内に整備されている塩の道は落倉自然園からこの周辺までのおよそ18.5kmが該当し、糸魚川から松本まで塩や海産物を運ぶために使われた。かつて上杉謙信がこの街道を通じて武田信玄に塩を送ったという逸話が残っており、それが敵に塩を送るという慣用句の語源になっているのは、よく知られたエピソードである。古い景観と歴史にまつわるストーリーが残り塩の道、CHARIP MAGAZINEでも糸魚川〜松本の塩の道ルートの自転車ライドを計画しているが、それはまた別の機会に。

レイクリゾートの気配が楽しい青木湖周辺。哲さんはたまにSUPをしにここまで足を延ばすそう。

それはともかく、塩の道のなかでも佐野坂〜青木湖畔へ通じるこの区間は昔の面影をとどめるエリアだ。旧道の風情が漂う塩の道は木陰が涼しく、街道沿いのマツやスギの根本にはさまざまな観音像が安置されていた。そのまま南下を続けると、それまでの旧道の風情から湖畔の別荘地へと趣が変わり、左手に青木湖が見えてきた。青木湖は長野県では諏訪湖・野尻湖に次ぐ面積をもち、有数の透明度を誇る天然の湖。SUPやカヤック、キャンプといったアクティビティを楽しめる青木湖だが、24年春にオープンした「ao LAKESIDE CAFÉ」の求心力もあってますます人気のスポットに。「ao」では青木湖畔のサイクリングをお勧めしているようで、サイクルステーションとしても機能していた。

青木湖をぐるりと半周したら、八方方面へ北上する。途中で立ち寄った三日市場神明社は、知る人ぞ知るスポット。簡素な造りの本殿・相殿は建築年代が不明ながら桃山時代初期の特徴が見られ、国の重要文化財に指定されている。文化財とかそんなことはともかく、なんだか気持ちのいい空気が流れていてつい立ち寄りたくなる、そんなスポットだ。神明社から水田エリアの中を走る農道を抜けて、ランチスポットの「GARDEN&CAFE EST A」へ。

「GARDEN&CAFE EST A」は田園風景に面したデッキを擁するカフェで、高温で一気に焼き上げるピッツァが自慢。燃料には環境負荷をなるべく抑えたいという意識から、間伐材や使われない森林資源を有効活用できる木質ペレットを使っている。定番から季節がわりまで種類も豊富なピッツァには旬の野菜がふんだんに。この時は定番のマルゲリータやアンチョビベーコン、フレッシュなグリーンリーフやハーブに生ハムをあしらった、サラダ感覚の生ハムサラダピッツァなどをオーダー。デッキから眺める緑の風景と相まって、ついつい長居してしまう寄り道スポットだった。

もちもちの生地と旨みのある具材のコンビネーションが楽しいナポリ風ピッツァがウリ。こちらは発酵食品の組み合わせで旨みたっぷりの「野沢菜キムチ」、上はシャキシャキのグリーンリーフがアクセントの「生ハムサラダ」。ランチはSサイズのピッツァとドリンクのランチセットがあり。

ランチの後はデザート代わりに「白馬農場 ジェラテリア」へ。農かふぇ&スタンドとして人気の「白馬農場」のジェラートショップで、採れたてのフルーツや野菜を使ったフレーバーが常時8種類ラインナップ。一部には自社農場産の食材を使用している。「えだまめミルク」や「ほおずきチョコチップ」といった他ではお目にかかれないフレーバーに、「レモンバーム」「トマトレモン」「はっさくソルベ」など、時期によってさまざまな味わいを楽しめる。聞けば、枝豆はさやから一つずつ豆を外し、ほおずきは一つ一つ袋から実を取り出して……と手間暇をかけてジェラートに仕立てているとか。どのフレーバーも素材の良さを感じられ、全種類食べてみたくなる!

他では味わえないユニークなフレーバーがたくさんで目移りしそう。
この時期ならではの「えだまめミルク」と、通年で人気の「ブルーベリーミルク」。ブルーベリーは自社栽培のものを冷凍しておき、通年で提供している。

ジェラートを存分に味わったら、国道148号の内側の裏道を走ってスタート地点の「Rhythm」へ。自転車で白馬村内をライドするのははじめてだったという2人、果たして感想は?
「自転車のスピード感が散策にぴったりで、目についたものや気になるものの前でパッと立ち止まれる気軽さがいいですね。車では見過ごしてしまいそうな素敵なものをたくさん見つけました」(モカさん)

「今年6月から、ショップでもグループライドを実施していて、経験者は岩岳まで自走してダウンヒルを、ビギナーは八方トレイルを走っていますが、今日のようなルートを取り入れてみてもいいかもしれません!」(哲さん)

白馬を走りたいというビギナーの方、E-バイクに乗ってみたいという方はぜひ「Rhythm マウンテンバイク店」に立ち寄って、このルートを走ってみてください。

リズムMTB店では、夏の営業終了までの間、バイクレンタルが10%割引となる特別キャンペーンを実施中。この機会にぜひご利用ください!↓