山梨県にフィーチャーするこのルートでは、新しい街づくりに取り組む韮崎から北杜市をライド。富士山に八ヶ岳、南アルプス甲斐駒ヶ岳の絶景が待っている! 残雪の八ヶ岳を眺めながら。 アウトドア天国・山梨を、自転車で走ろう 甲府の名物アウトドアショップ「SUNDAY」、Vivobarefootの体験型ショップ「RooTS oF THE FLowER」のオーナーにして、山梨の自転車コミュニティのキーパーソンである石川幸之助さんをゲストに迎える今回の舞台は、山梨県韮崎市・北杜市。このエリアには遊ぶのにうってつけのトレイルやグラベル、フィールドが広がっていて、クライマーやトレイルランナー、サイクリスト、マウンテンバイク乗りといった外遊び好きを惹きつける。 シクロクロス形式のイベント「白州の森バイクロア」のツアーライドのコンテンツ作成に携わり、「自然」「地元」「生活」をテーマにしたグラベルツアーを実施するなど、界隈の自転車道事情、オフロード事情にも詳しい石川さんにナビゲートしてもらったのは、山梨らしい風景に出合えるルートだ。 旧甲州街道の宿場町、台ヶ原では、旧街道の風情を楽しめる。 サドルの上で眺める八ヶ岳と南アルプス スタートはJR韮崎駅。愛車、「SimWorks」のDoppoに乗ってやってきた石川さんと落ち合う。駅前から韮崎のランドマーク「アメリカヤビル」の前を通って七里岩ライン(県道17号)にあがる。右手に八ヶ岳を望みながら、ゆるやかなアップダウンのある舗装道を行く。武田勝頼が築いた新府城址を通過すると、いつのまにか八ヶ岳が正面に!JR日野春駅にさしかかると、左手に南アルプスが見えてきた。特徴的なオベリスクは鳳凰三山の地蔵岳、ぎゅっと急登する稜線は甲斐駒ヶ岳。雪を抱いた名峰を一度に味わえるランドスケープ、なんて贅沢! EL(電気機関車)が展示されている韮崎中央公園。 坂を上り切ったところでGPSのルートをチェック。左手には甲斐駒ヶ岳の特徴的な山容が。 日の春駅から先は交通量が少なくなり、周囲には畑や水田が増えてくる。田植え前の土づくりが行われているこの時期、水田にはまだなにもないけれど、「水が張られると南アルプスが田んぼに映り込み、逆さ甲斐駒が現れるんですよ」と石川さん。おお、それは見てみたいかも。 里山にあるスパイスの名店へ このエリアの名物ショップといえばこちら!スパイスの効いたエキゾチックなフードを楽しめる「mountain*mountain w/café flat」。山小屋を思わせる建物は、シェフが1年半を費やしてセルフビルドしたもの。 水田のなかをのんびり走り、最初の休憩ポイントの「mountain*mountain w/café flat」で早めのランチをいただく。里山のはずれにあるこのカフェでは、びっくりするほど本格的な多国籍料理を楽しめる。季節の食材とスパイスが奏でる独自の味わいに定評があり、県外から訪れる愛好家も少なくない。スパイスの効いたオリジナルドリンクも絶品! ランチセットにはメインの一皿に加えて地元野菜のサラダや前菜、ドリンクもついて、ボリュームたっぷり。 ランチの後は旧甲州街道の宿場町として栄えた台ヶ原へ。立ち寄ったほたる親水公園は、毎年6、7月にはゲンジボタルやヘイケホタルが舞う様子を楽しめるという市民の憩いの場で、石川さん曰く「知る人ぞ知る、甲斐駒ヶ岳のビューポイント」。「koma」で調達したブラウニーを食つまんだら、いよいよルート後半戦へ。 ランチ後、ルート後半の序盤に登場するのが、戦国時代の砦跡だったという中山だ。地元住民にとってはハイキングコースとしておなじみだが、グラベルバイクにとっては最高に楽しいオフロード・ゾーンでもある。今回のルートは中山を周回するように設けられた林道を走るが、時間があれば自転車を置いて標高888mの展望台まで登る(登山口からおよそ30分)のもよし。富士山、南アルプス、八ヶ岳、金峰山と、日本百名山に連なる名山を一望する大パノラマが広がっている。 中山では、グラベル好きの気分を盛り上げるダートが登場! その先、中山峠でルートを折り返す。峠から林道を降りた先には、石川さんのお気に入りのグラベルが広がっているはずなのだが、整備中につき7月まで閉鎖されていた。もしかして、グラベルでなくなるかも……。 往路に走った七里岩ラインの「七里岩」は、八ヶ岳の噴火で流れ出た岩屑流が釜無川と塩川に侵食されて形成された、広大な台地のことを指す。山梨県の富士見町から小淵沢や長坂、大泉などを経て韮崎の中心地に達するもので、その長さ、なんと30km ! 高さ10〜40mのこの断崖の上に設けられているのが七里岩ラインで、台地の崖下を流れるのが釜無川。復路では、往路に使った七里岩ラインを左手に見ながら釜無川沿いを走る。 桜が開花する時期に再訪したい名木・山高神代桜。 春先が楽しみな、県随一のサクラの名木を訪ねて 途中、日本最古の桜の古木、「山高神代桜」を眺めようと、大津山實相寺に立ち寄った。樹齢2000年というエドヒガン種のサクラの樹は、東国遠征に出かけた日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が自ら手植えしたという伝説のほか、鎌倉時代に日蓮上人が愛でたという逸話を残す。大正時代の写真と見比べると、樹勢はかなり衰えているように見えるが……。 「2000歳ということもあってヨボヨボに見えるかもしれませんが、毎年春先に見事な花を咲かせるんですよ。その時期は花見の人で賑わいますが、その花の勢いに感動するはず。タイミングがあったらぜひ鑑賞しにきてください」 韮崎駅付近に帰着。 神代桜を鑑賞した後は、正面に富士山を眺めながら釜無川沿いを南下する。途中からサイクリングロードに入れるので、ここは快適にライドしよう。釜無川河川緑地の先で県道27号に入り、再び韮崎駅方面へ。ここで時間があったら、韮崎の中心地の道草も楽しみたい。 韮崎駅前の賑わいを取り戻すのに貢献する「アメリカヤ」。ビル屋上の特大サインが目印。 ライド後の楽しみも盛りだくさんの韮崎中心街 石川さんのおすすめは「アメリカヤ」と「アメリカ横丁」。派手な外観が目を引く「アメリカヤ」は1967年に竣工された建物だが、竣工当時の名物オーナーが亡くなって15年もの間、空きビルになっていた。それが地元の建築士の手によりリニューアルしたのが、2018年のこと。現在はカフェや山好きの店主が営むセレクトショップ、コミュニティスペースなどが入る複合施設になっている。このビルをきっかけに、夜も楽しめる飲食店街の「アメリカヤ横丁」が再生、韮崎は「泊まって遊べる街」に変わりつつあるのだとか。 自転車輪行だからこその機動力を生かし、街遊びも楽しみたい韮崎ライド。締めは、ぶらりと立ち寄った赤提灯。至福の一杯で乾杯! 石川さんのギアには参考にしたいアイデアがたくさん 石川さんのアウトフィットには参考にしたいアイデアがたくさん。こちらのプルオーバーが「BLOW」。 自転車ライドで重宝しているのは、「SUNDAY」オリジナルライン「HEY DAY」の「BLOW」。行動中の快適さを追求して作られた、ウィンドシェルの機能を持たせたプルオーバーで、高い通気性・透湿性と適度な防風性がポイントだ。フードは折りたたんで襟にしまえる仕様になっている優れもの。 「BLOW」との相性が最高!という「OMM」の「Core Hoodie」。 「BLOW」との組み合わせで威力を発揮するのが、「OMM」の「Core Hoodie」。プリマロフト®︎アクティブを使ったインサレーションで、メッシュ生地に化繊の羽毛を織り込んで保温性を確保している。 「メッシュ生地が余分な熱や汗を放出してくれるから、行動中、着っぱなしで快適。下りではこれの上に防風性のある『BLOW』を重ねると保温力がアップ。この組み合わせだけで自転車のあらゆるシーンをカバーできます」 石川さんのもう一つの愛用ギアが、「OMBRAZ」のサングラス。「ULTRAROMANCEのロンがかけていることでサイクリストの間に広まった、テンプルレスのサングラス。テンプルの代わりのコードで、着用時の快適さが格段にアップ。僕は別売りのサイドシールドを装着しています」