おやつポイントがたくさん!グラベルビギナーにおすすめの、安曇野の田園ルート。

「グラベルを走るの、初めてなんですよ〜」、そう言いながら、待ち合わせ場所のスワンガーデン安曇野に現れた女性サイクリスト2人。AYANEN&チサトというトレイルランナーのコンビを誘ったのは、のどかな田園風景とグラベル(未舗装路)のライドを楽しめる、通称「安曇野おやきライド」。朝まで降っていた雨はぴたりとやんで、天気は上々。風もなく、気温もちょうどいい感じ。つまりは絶好の自転車日和だ。

ビギナーの二人がグラベルライドに初挑戦!

さっそく車から自転車を下ろし、レイヤリングと持ち物を確認。KONAのグラベルバイク「ROVE AL」をレンタルして、生まれて初めてのドロップハンドルに挑戦するチサトは、ハンドルの握り方やブレーキのかけかた、シフトレバーの使い方など基本的な操作方法のレクチャーを受けている。ゆっくり漕ぎ出し、減速、止まって降りて…をひとしきり繰り返し、操作に慣れたところで、一足お先にライド前の足慣らしへ。おっかなびっくりかと思いきや、このバイクの乗り心地が気に入ったようで、いつの間にかポジションチェンジもスムーズにこなしている。慣れてきたところで、KONAのクロスバイク「DEW」のAYANENと合流。さっそくライドに出発!

GPSデバイスの使い方をおさらい。

今回走るのは、スワンガーデン安曇野を起点とした、30km超の周回ルート。スワンガーデン出発後は国営アルプスあずみの公園の横を通って北上し、「さかた菓子舗」でおやきを、「HOW DOUGHNUTS」でドーナッツを購入予定だ。途中、ランチ休憩をはさみ、かじかの里公園を経て、午後の休憩ポイント、安曇野わさび田湧水群公園へ。ここでおやつとコーヒーをいただいたのち、スワンガーデンに戻る――という行程だ。

安曇野ではフラット基調のグラベルライドを楽しめる。

10時。出発早々、舗装路を離れて小川沿いのグラベルへ。川沿いは八重桜が満開で、早くも日差しが強くなりつつあるいま、この木陰がちょうどいいオアシスになってくれている。一瞬、足を止めて花見をしようかなと思ったが、初めてグラベルを走る2人は、「きゃー、手が震えるー!!」と、桜どころではなさそうだ。小川沿いの短いグラベルを抜けた先には、安曇野らしい田園地帯が広がっている。本来ならここで目に飛び込んでくるのは、青空をバックに雪をかぶった、北アルプスの3,000m級の山々の連なり!……のはずだが、あいにく雲がもくもくと湧き出して、北アルプスを隠してしまった。

チャリップのライドは、ダウンロードした地図ファイルをお使いの地図アプリで読み込むだけ。

そうこうするうちに気温がぐんぐんあがってきた。日差しはますます強くなる。しまった、日焼け止めを忘れた――でも大丈夫。日焼け止めを忘れてしまったときのレスキューアイテムがサングラスだ。実は、目から入る紫外線は、目そのものだけでなく肌にもダメージを与えるってご存知だろうか。紫外線が目に入ったことを脳が察知すると、そのダメージをブロックするため、メラニン色素をガンガン生成し始めて、つまり肌も日焼けする――というわけ。というわけで、2人ともさっそくサングラスを装着。

雲が抜け、北アルプスが顔をのぞかせた。

ビギナー向け、レイヤリングのポイントって?

さて、日焼け止めのまえにレイヤリングの話もしておこう。 “自転車ライドのウエアとレイヤリング”というと、ピタピタのサイクルジャージ&パンツを想像するかもしれない。専用ウエアを揃えなきゃいけない?そんな心配はご無用です。実際、2人とも、山へ出かけるときに愛用している機能性素材のウエアを重ね着して、自分たちらしいスタイルでライドを楽しんでいる。グラベルライドの醍醐味は、のんびり自分のペースで、周りの風景や気になるカフェや施設での休憩を楽しみながら、その土地の良さを味わうことにある。速さを競うわけじゃないのだから、サイクルウエアよりもむしろ、普段着寄りのスタイルのほうが適しているのだ。ただし、汗をかく前にレイヤリングを調整してこまめな体温調節を心がけよう。そして、できれば吸水速乾性のある素材が好ましい。コットンなど天然素材のウエアは、一度汗を吸ってしまうと乾きづらく、風を受けて汗冷えしてしまう。特に下り坂では、夏場でもキンキンに冷えることがあるので、注意されたし。といっても、このルートにはそんな下り坂はないのだが…… 。

「さかた菓子舗」を出た直後、がまんできずおやきをパクッ。

おやき専門店とドーナッツにピットイン!

無事、最初のチェックポイント、「さかた菓子舗」に到着。長野の郷土食、手包みのおやきの専門店で、ぎっしり詰まった餡ともちもちとした皮のバランスが絶品!と評判だ。イチオシの「きんぴら」が売り切れていてがっかりだけれど、お目当ての「野沢菜」と「小倉」を無事にゲット。そこからさらに1.6km走ったところで、今度はドーナツ専門店の「HOW DOUGHNUTS」にピットイン。立ち寄りスポット多すぎ……?とも思うけれど、ここのドーナツも見逃せない。長野県産小麦粉、近隣の福祉施設が営む養鶏場産の卵、サトウキビを炊いた素炊糖と、厳選した素材で作り上げるドーナツは、軽い食感と甘すぎない味わいが特徴で、有機栽培レモンの香りと酸味をアクセントにした「レモン」、甘みのなかにマスタードが香る大人の味わい「スウィートマスタード」など、ユニークなフレーバーが揃う。あれだけおやきを買った後で、しこたまドーナツを買い込んだ2人、「その分、しっかり漕ぐんで、ちゃんとおなかを空かせますから!」

おやきを買った直後に、さらなるおやつを追加購入。ふわふわ食感のドーナツを楽しめる「HOW DOUGHNUTS」にて。

「HOW DOUGHNUTS」のあとは、森の中のダブルトラックをのんびり走る。「やっぱり、涼しい木陰は最高!」(AYANEN)

砂利道の横に小さな小川を発見したので、すかさず自転車を降りて川べりへ。安曇野といえば「水」を忘れてはいけない。日本一のわさび田からあることからもわかるように、安曇野は北アルプスの雪解け水に恵まれているエリアだ。湧水量は1日におよそ70万トン。安曇野のわさびやそばがおいしいのは、この水のおかげだ。さらに、年間を通じて水温は約13℃に保たれているというから、夏の盛りには恵みの水浴びを楽しめそうだ。川に手を浸してみると、その水のなんと冷たいことよ!ここでしばしのクールダウン。

木立のなかのグラベルがひとときの癒し!
安曇野らしい清流を発見。

公園におやつを持ち込みピクニック気分

休憩を終えて再び自転車へ。ちょうどルートの1/2程度を走ったところだが、ダートやグラベルでハンドルを握り込んでしまったせいか、「手のひらが痛い!」「手のひらも痛いけれど、ついでにお尻がめっちゃ痛い!」と、弱音を漏らす。2人の痛いところランキングベスト3をヒアリングしておいた。「手のひらとおしり!」(AYANEN)「太もも、手のひら、お尻!」(チサト)「これ、いつか痛くなくなるときがくるんですか!?」(AYANEN)

その痛み、パッド入りのサイクリスト用パンツや、手のひらにクッション材をあしらったサイクリンググローブで解決できますよ!

お尻の痛さも忘れてそれぞれのおやつにかぶりつく。

21km地点のかじかの里公園でトイレ休憩を済ませ、最後のポイント、安曇野わさび田湧水群公園へ。公園の隣にある駐車場の一角に自転車を止め(ここが満車の場合は隣接する豊科運動広場の駐車場へ)、おやきとドーナツと折りたたみテーブルを持って、公園内のベンチへ。園内には、北アルプスの伏流水が湧き出す“いこいの池”があり、四季折々の表情で来園者を楽しませてくれる。冬にはこの水で漬物用の野沢菜を洗う住民の姿も見られるとか。

ようやく登場!ルート前半で購入した本日のおやつたち。

痛むお尻をさすりながらおやきとドーナツを堪能し、再び車上へ。ゴールのスワンガーデンまではあと約4km。このころから風も吹き始め(8m/s)、こいでもこいでも一向に前に進まない“自転車あるある”を2人とも体感することになる。こんなときは、ただただ足を動かして体の中の変化に集中しよう。頭を空っぽにして、感じることだけに集中する時間って、普段は取れない贅沢なひとときだから。視線や意識は前方にしっかり向けたまま、心の片隅でどっぷりと考え事にふけるのも楽しい。そうすると、不思議なくらい、頭のなかがスッキリしている。これって瞑想効果?

なんてことを思っているうちに、スワンガーデンに到着していた。

「次はちょっと、しまなみ海道に挑戦したいと思っちゃいました」(チサト)

「お尻は猛烈に痛い!でもあと3泊くらいして、がっつり走ってみたい気もします」(AYANEN)

グラベルビギナーの2人も楽しめる、ゆるふわ安曇野グラベルライド。自転車初心者の方、初グラベルという方にオススメです!

のどかな田園風景の中を走る。